
「積み木の問題、後ろに隠れている個数がどうしてもわからない」
「図形の回転や展開図になると、急にわからなくなる」
算数の学習が進むにつれて、多くのご家庭から聞こえてくるのが「図形」に関するお悩みです。
計算はドリルをやれば速くなるけれど、図形はどう教えればいいのかわからない。「やっぱり遺伝やセンスの問題なのでしょうか?」という質問もよくいただきます。
結論から申し上げます。空間認識能力は、遺伝ではありません。トレーニングで劇的に伸びる能力です。
ただし、そこには「絶対に守らなければならない順番」があります。
今日は、ペーパー学習だけでは絶対に身につかない「図形脳」の育て方についてお話しします。
## なぜ、プリントだけで図形を勉強してはいけないのか?
「図形が苦手だから」と、図形ドリルの枚数を増やしていませんか?
実は、これが一番の落とし穴です。
子供の脳は、「具体物(立体)」→「脳内のイメージ」→「抽象物(平面のプリント)」という順序でしか発達しません。
まだ本物の積み木を十分に触ったことがない子に、紙に描かれた「四角い箱の絵」を見せても、脳内では立体として認識できていないのです。
それはまるで、「イチゴを食べたことがない子に、イチゴの写真を見せて『甘酸っぱい味がするよ』と教えている」ようなもの。実感がないので、理解できるはずがありません。
図形が得意な子は、紙の上の図形を見た瞬間、頭の中でそれを「立体」に変換し、クルクルと回したり、切ったりすることができます。
この「頭の中でイメージを動かす力」こそが、私たちが育てたい能力の本質です。
## 隠れた積み木が見える「魔法のカメラ」
では、どうすればその力がつくのでしょうか。
ポイントは、「見えないものを見る」練習です。
ピグマリオンの教室では、積み木の問題を解くとき、単に数を数えることはしません。
「ここから見たらどう見える?」
「反対側から見たら、どんな形かな?」
と、視点を変える問いかけを徹底的に行います。
ご家庭で簡単にできるトレーニングがあります。
テーブルの上に積み木やお気に入りのおもちゃを置き、お子様に「心の中に魔法のカメラを持ってごらん」と伝えてください。
「そのカメラで、天井からパシャっと写真を撮ったら、どんな形に写るかな?」
「反対側から撮ったら、どう見える?」
実際に体を動かして覗き込んでも構いません。
こうして「自分以外の視点」を持つ経験を積み重ねることで、脳内に3D空間ができあがっていきます。
## 方向音痴も直る?空間能力は「生きる力」

空間認識能力は、算数のテストのためだけの能力ではありません。
* 地図を読む力(方向感覚)
* ボールの落下地点を予測する力(スポーツ)
* 相手の立場に立って考える力(コミュニケーション)
これらは全て、「自分と対象物との距離や関係」を把握する空間能力がベースになっています。
実は、「相手の立場に立つ」という高度な精神活動も、物理的な「視点を変える(相手側から見る)」という空間認識の発達と深くリンクしていると言われています。
ですから、外遊びでジャングルジムに登ったり、キャッチボールをしたりすることも、実は最高の「図形や立体を把握するトレーニング」なのです。
## まとめ:消しゴムを使う前に、積み木を出そう

もしお子様が、プリントの図形問題で鉛筆が止まっていたら。
「なんでわからないの!」と怒る前に、すぐにプリントを脇にどけて、本物の積み木や折り紙を持ってきてください。
「実際に作ってみようか」
この一言が、子供を救います。
実際に手を動かして、「あ、裏側はこうなってたんだ!」という発見(アハ体験)をした瞬間、脳のシナプスは強力に繋がります。
遠回りに見えるかもしれませんが、具体物を触り倒すことこそが、将来、複雑な幾何学問題を頭の中だけで解くための最短ルートなのです。
今日から、リビングを積み木だらけにして遊びましょう!
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