
「ピグマリオンを知ったのが遅かったんです」
「もう年長(5〜6歳)なんですが、今から始めても間に合いますか?」
教室やSNSを通じて、このような切実なご相談を非常に多くいただきます。
世の中には「脳の黄金期は3歳まで」「いや、9歳(つまたぎ)までが重要だ」といった情報が溢れており、「うちの子、もう手遅れかも…」と不安になってしまうお気持ち、痛いほどよくわかります。
今日は、思考力教育を始める「時期」と、もしスタートが遅れたと感じた時にどう挽回すれば良いのかについて、正直にお話しします。
## 結論:「今日が一番若い日」。でも、アプローチは変わります
まず結論から申し上げます。
「始めるのに遅すぎる」ということは絶対にありません。
何歳からであっても、適切な刺激を与えれば脳は必ず成長します。
しかし、残酷な真実もお伝えしなければなりません。
「2〜3歳から始めた子」と「5〜6歳から始めた子」では、脳の吸収力や柔軟性が違うのも事実です。幼児期の1年は、大人の10年に匹敵すると言われるほど濃密な時間だからです。
では、もう諦めるしかないのでしょうか?
いいえ、違います。重要なのは、年齢に合わせて「アプローチ(登り方)を変えること」です。
## 焦りが生む最大の失敗:「年齢相応」をやらせてしまうこと
スタートが遅れたと感じた親御さんが、最も陥りやすい失敗があります。
それは、「焦って年齢相応の難しい問題をやらせてしまうこと」です。
「もう5歳だから、これくらいできないと!」と、基礎ができていないのに難しいプリントを与えてしまう。すると子供は挫折し、「自分は算数ができないんだ」と自信を失ってしまいます。これが最悪のパターンです。
ピグマリオンでは、実年齢は関係ありません。
5歳であっても、もし「1〜3個」の量感が瞬時に捉えられていないなら、勇気を持って2歳児の内容(具体物遊び)に戻る必要があります。
「今さら積み木なんて…」と思うかもしれませんが、基礎の土台がグラグラのまま上に家を建てても、すぐに崩れてしまいます。急がば回れ、なのです。
大切なのはお子さまの能力の現状に対して、今は何に取り組むことが必要なのかを知ることです。
## 挽回するための唯一の方法:「具体物」に徹すること

もし「少し遅れてしまった」と感じるなら、今日からプリントの時間を半分にして、徹底的に「具体物」を触る時間を増やしてください。
* おやつのクッキーを配る(割り算の基礎)
* 積み木で競争する(図形能力)
* お風呂の水のかさを測る(量感)
年齢が上がっている分、理解力は発達していますから、一度「実感」さえしてしまえば、その後の習得スピードは小さい子よりも速い場合があります。
遅れた分を取り戻す鍵は、ペーパーの枚数ではなく、五感を使った実体験の「濃さ」にあります。
## まとめ:他人と比べず、目の前の我が子だけを見て

「隣の〇〇ちゃんは、もう掛け算ができるんだって」
そんな情報が耳に入ると焦るかもしれません。でも、絶対に他人と比べないでください。いずれできるようになっていくことです。
比べるべきは「昨日の我が子」です。
昨日できなかったことが、今日できるようになっていれば、それは素晴らしい成長です。
思考力を育てる旅に、遅すぎることはありません。
「今日が、残りの人生で一番若い日」です。
焦る気持ちをグッと抑えて、まずは目の前のお子様と、積み木遊びから始めてみませんか?
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