ピグマリオン学院では小6で中3内容を修了するカリキュラムを立てています。これは単に中3内容を修了することが目的ではなく、小学校6年生で中学3年生レベルの内容を理解できる能力を創ることが目的です。知育に関心がある教育熱心なご家庭は小学校受験や中学校受験を目指す場合が多いです。中学校受験を経験する人は地域にもよりますが全体のおよそ10%程度で、小学校受験はさらに低い数字になります。しかし、学力をしっかりつけておきたいと考える保護者は多いと思いますので、なぜ小6で中3内容まで進む必要があると考えるか、を記したいと思います。
中学受験では各学校の合否は算数の成績で大きく左右されます。過去に中学校受験の入試問題を方程式で解いて良いか、という議論が交わされた時期がありましたが、実は中学校受験の問題には負の数や証明などの一部を除き、数学内容が出題されています。つるかめ算は連立方程式で解くことができますし、速さや水量変化は一次関数です。素因数分解や平方数は整数問題でも散見されます。灘中などの最難関では合同式など高校数学内容を使うこともできる問題すら出てくることもあります。これは中学・高校の先生が入試問題を作るのですからある意味当然のことです。
ここから言えることは受験で難関校へ合格していく子どもは小学校6年生時点ですでに中学2~3年生レベルの能力を有しているということです。過去に灘中に合格した生徒に中学校の教科書を「やってごらん」と渡すと中学校入学前に全部解くことができた子もいましたが、これも当然のことだと言えます。
日本の学校では入学時と卒業時の偏差値で大きく変化する生徒の割合は多くありません。最難関中学校の顔ぶれや地域公立トップ高校はこの数十年大きな変化はなく、進学校は優秀になる場所ではなく、優秀な子が集まる場所になっています。私立は言うまでもなく、公立でも高校以降は学校によって使う教材の難易度が異なりますので、入れ替わりには相当な努力が必要になります。これは塾や予備校のクラスでも同様のことが言えるかもしれません。
全体でみると小学校受験や中学校受験をしないご家庭が大半ですが、もし公立ルートで国公立大学や医学部を目指したり、同等の学力を身に付けたりしたい場合は、一つの指標として「小学校6年生時点で中学校3年生の内容を理解できる能力作り」があっても良いのではないかと考えます。日本は学歴社会と言われ、最終的な学歴である大学を中心に子どもの教育を考えていくご家庭が多いです。多様な時代になりつつも、優秀さと言われれば学力のことを思い浮かべる方も多いと思います。進学を考えたとき、18歳の時点で受験組の子たちと大学入試で競うことになりますが、どの道を進むにしても高い力をつけておくことが望ましく、受験はしないけど受験勉強はしたいと考えるご家庭もいらっしゃるのはそのためだと思います。
教育は勉強や成績、受験のことだけではなく、将来自分の力で生きていくためにあらゆる状況に対応できる能力を育てることを目的です。例えば、大人でも社会に出てから新しい仕事を取り組むとき、習得の早い人とそうでない人がいます。ピグマリオンが育てたいのは当然前者で、人生で求められる力はむしろこちらであると考えます。そのためのわかりやすい指標の一つとして、小6で中学校3年間の内容を理解できる力をつけるためのカリキュラムにしています。