2026年06月18日

【ブログ】算数・数学が得意になるには

幼児期から小学校低学年にかけての数の学習と聞くと、多くの親は数を順番に唱えることや足し算などの計算、あるいは九九の暗記などを思い浮かべるのではないでしょうか。日々の生活のなかで子供が数に関心を持ち、億や兆といった大きな数字を知って面白がる姿を見ると、親としては算数が得意になるかもしれないと嬉しく感じるものです。確かに計算が早くできることや公式を知っていることは、将来的に算数や数学を学ぶ上での大切な前提条件の一つとなります。幼児期の段階において計算が得意であれば、周囲からも算数が得意な子供として評価されやすい傾向があります。
しかし、計算が早く正確にできることと、算数や数学が本当に得意であることとは、必ずしもイコールではありません。大人になってから数学的な思考力に長けている人というのは、単に計算処理が早いだけでなく、物事を論理的に捉えて筋道を立てて考える力や、より効率的な方法を見つけ出す最適化の能力、そして自分なりに試行錯誤しながら新しい解決策を生み出す創意工夫の力を持っているものです。私たちが子供に本当に身につけてほしいと願っているのは、目先の計算力ではなく、こうした深く考える力そのもののはずです。

学習の成果として、計算の速さや暗記の量は非常に見えやすい能力であると言えます。プリントの点数や解答にかかった時間として数値化しやすいため、親も子供も成長を実感しやすく、ついそこばかりを追い求めてしまいがちになります。一方で、論理的な思考力や創意工夫の力といったものは数値化しにくく、すぐには結果として表れない見えにくい能力です。
しかし、小学校の3~4年生頃になり、抽象的な概念や複雑な文章題が登場し始めると、算数において本当に求められるのはこの見えにくい能力の方になります。幼児期から見えやすい計算力ばかりに偏った学習を続けていると、じっくりと考える前に反射的に答えを出そうとしたり、数の本質的な意味を理解しないまま機械的に処理に終始したりする可能性もあります。状況を頭のなかでイメージする力が育っていないため、文章問題で途端に手が止まってしまうことにもなり得ます。何よりも懸念されるのは、直感的な暗記だけで課題を解決することが当たり前になってしまうと、少しでも複雑で頭を悩ませるような問題に直面したときに、考えること自体を嫌がるようになってしまうことです。

将来的に本当に数に強い子供に育てたいと願うのであれば、そこへ至るための正しい道筋を親が理解しておくことが重要です。幼児期において優先して育てるべき前提の力とは、指先を繊細に動かす調整能力や、図形を正確に認識する力、そして空間の広がりや位置関係を把握する幾何学的な感覚です。これらは一見すると算数の学力に直結しているようには見えにくく、現状の能力を測りにくい分野でもありますが、これこそが高度な論理的思考を支える土台となります。ペーパーテストの点数を上げるためだけの学習ではなく、具体物を触りながら図形を組み立てたり、パズルに取り組んだりする経験の積み重ねが不可欠です。時間と手間をかけて自分自身の頭で考え抜き、ようやく答えにたどり着いたときの喜びを感じる経験は、子供の心に考えることは面白いという確かな感覚を植え付けます。小さい頃からこの思考する楽しさを知っているかどうかは、その後の子供の学習観全体に対して計り知れないほど大きな良い影響を与え、自ら進んで学び続けるための生涯の財産となっていきます。