「幼児期から計算を練習すれば、算数が得意になるのでしょうか」
「数字には興味があるけれど、文章問題や図形で困らないか心配です」
お子さまに算数を得意になってほしいと考えたとき、計算の先取りやプリント学習を思い浮かべる保護者は少なくありません。計算を正確に行う力は、もちろん大切です。
しかし、算数や数学で長く必要になるのは、覚えた手順を繰り返す力だけではありません。数や形の関係をイメージし、条件を整理し、自分なりの方法を試す力が必要です。
この記事では、算数が得意な子に育つために幼児期から大切にしたい4つの土台と、家庭でできる関わり方を紹介します。
幼児期に計算が速いと、算数が得意なように見えます。答えが数字で表れるため、成長も分かりやすいからです。
一方、小学校で学習が進むと、文章から必要な条件を読み取る問題、図形を頭の中で動かす問題、いくつかの考え方を組み合わせる問題が増えていきます。
このときに支えとなるのが、次の4つの力です。
計算力を否定するのではなく、これらの土台の上に計算力を積み重ねることが大切です。
数字を順番に唱えられることと、数の意味が分かることは同じではありません。
たとえば「5」を、5個のまとまりとして感じられること。「2と3」「4と1」のように分けたり合わせたりできること。どちらが多いか、あといくつで同じになるかを考えられることが、計算の意味を理解する土台になります。
数量感については、数量感とは?幼児期に算数の土台を育てる家庭での関わり方でも詳しく紹介しています。

算数には、目に見える数字だけでなく、形・向き・位置・大きさを捉える力も必要です。
図形を回転させた姿を想像する、全体と部分の関係を見る、隠れた部分をイメージするといった経験は、図形問題だけでなく、文章に書かれた場面を頭の中に描くときにも役立ちます。
幼児期は、実際の学具を手で動かし、向きを変え、組み合わせながら確かめることが大切です。

文章問題では、計算そのものよりも「何を聞かれているのか」が分からず、手が止まることがあります。
「分かっていることは何か」「何を求めるのか」「なぜその方法を選んだのか」を言葉にする経験は、条件を整理し、筋道を立てて考える力につながります。
幼児期から難しい説明を求める必要はありません。「どうしてそう思ったの?」「どこを見たの?」と聞き、お子さまなりの言葉を待つことから始められます。
初めて見る問題では、すぐに正解できないことが自然です。そこで大切なのは、大人に間違いを指摘される前に、自分で見比べて違いに気付く経験です。
大人が先に解き方を教えると、その場では早く進みます。しかし、子どもが自分で違いに気づき、やり直す機会は少なくなります。
正解だけでなく、「自分で違いに気付いたね」「よく見比べたね」と過程を認めることが、難しい問題にも向かう姿勢を育てます。
おやつを分ける、買い物で個数を確かめる、料理で水の量を比べるなど、日常生活には数に触れる場面が多くあります。
正しく数えられるかを試すだけでなく、「どちらが多い?」「同じにするにはどうしたらよい?」と、量の関係に目を向けてみてください。
形は、名前を覚えるだけでは十分ではありません。実際に動かし、組み合わせ、別の向きから見ることで、形の特徴や位置関係が分かるようになります。
使用している教材や学具は、学材と学具のページで紹介しています。
お子さまが困っていると、つい解き方を説明したくなります。そのときは、まず少し待ち、「どこまで分かった?」「向きを変えたらどうなるかな?」と、考えるきっかけになる言葉をかけます。
考える力と知識の違いについては、勉強はできるのに考える力が弱い?幼児期に育てたい本当の賢さもあわせてご覧ください。
正解したときも、「どうやって分かったの?」と聞いてみてください。自分の考えを振り返り、言葉にすることで、偶然できた答えが理解へと変わっていきます。
プリント学習や計算練習が悪いわけではありません。具体物で確かめる経験や、自分で考える時間と組み合わせることが大切です。
ピグマリオンでは、算数を計算だけの学習として捉えていません。指先・空間・図形・思考力・数論理・言語の力を関連づけながら、子どもが自分で学ぶ土台を育てます。
大人が答えを教え込むのではなく、子ども自身が学具を動かし、比べ、気づくことを大切にしています。教育の考え方は、ピグマリオンメソッドをご覧ください。
年齢や発達段階に応じた学習内容は、カリキュラムで確認できます。
算数が得意な子に育てるために、幼児期から計算を急いで先取りする必要はありません。
数量感、図形と空間を捉える力、言葉で考える力、間違いに自分で気付く力を丁寧に育てることが、その後の算数や数学を支える土台になります。
家庭では、生活の中で量を比べ、手を使って形を動かし、お子さまが自分で気づく時間を大切にしてみてください。